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泥濘 ぬかるみ

2009年01月03日 20:31

えっと…

やっと主人公匂宮のお話を。

匂宮ってほんとに良い子なんだよね。
やっぱりあーこには愛されて育った人が似合っている。

匂宮の彷徨はアレックスと似ている。

でも匂宮には愛されて育った記憶があった。
家族があった。
だからこそ最後に
薫を救うことができるのは彼だけだったんだと思う。

という勝手な解釈


傀儡田楽

匂宮が六条院の罪に脅え、薫に執着するのとまた別のところで
愛に背を向けて生きているのには理由があった。

次期東宮と目されていた兄二の宮と才覚を比べられるのを恐れたからだ。

彼は兄を愛していたから。

兄が政治の世界で生きたいと思っているのを感じていたから
そこから離れようとして政略結婚を避けて生きていたのだ。
目立たぬように。愛されすぎないように。
彼は仮面をかぶって生きてきた。

しかし兄が失脚し彼自身が次期東宮と目されるようになる事件が起こる。
必死に拒む彼だったが時勢に抗うこともできず
無力な自分自身を思い知らされることになる。

そこに登場するのは小宰相の君。かつて女一の宮のところで見た女。
実は市井の女で宮中に居るのは仮の姿だという。(なんという飛び道具設定!)
宮中は退屈だから去るという彼女の手を握ったまま
彼は離すことができなかった。

「宮様、私と一緒に来る?」

彼は誘われるまま祭田楽の渦へとやってくる。
手には兄から預かった上宮太子(聖徳太子)のものと言われる宝剣をもったまま。

するとその宝剣を戯れに奪われてしまう。
追いかける匂宮。
祭りの狂乱のリズム。
踊り狂う人々。
それらに翻弄されながらやっとのことで剣を取り戻す。

と、傀儡の芸が始まる。
そこに匂宮は六条院の姿を見る。
愛に縛られて傀儡のようになってしまった姿。恐ろしい姿。

   愛に縛られて…ああ薫も同じだ。

そして今度は匂宮自身も囚われそうになる。
「身を任せれば」「もっと楽に生きられるよ」

匂宮はその糸をあの兄から譲り受けた太刀で切り裂く。
私はそうはならないと必死で抗おうとする。それは本能。
しかし「いらないこんなもの」と拒絶しようとしたあの太刀しか
彼を守るものはなかったという大いなる矛盾。

彼を生かすも殺すもその太刀次第。
所詮匂宮には権力という名のその太刀しか頼れるものがないのだと知らされる。
抗って逃げようとした相手こそが自らを守っていた。
愕然とする匂宮。

姿を消していた小宰相の君が太刀の鞘をもって戻ってくる。
太刀を鞘に納めようとすると
でもやはり反射的に太刀を守ろうとする匂宮。
それは生きようとする本能。
小宰相の君はそれを見て彼の生きる道が選ばれたのを知る。
やはり彼は彼の世界でしか生きられないのだ。

   …分かっていたことだけど。

彼女も去るという。
思い通り生きていける人などいないんだと小さな背中が寂しげに笑った。

泥濘
初めて自らの抑えてきた想いを歌う匂宮。
空には満点の星。ひえびえとした冬枯れの道。

誰かと愛し愛されることを夢見ることすら彼にとっては罪だった。
それは全て権力闘争の材料となるのだから。
愛のために傀儡となり果ていいようにあやつられるだけの
六条院と同じようにはなりたくなかった。
そして兄や母、そして弟。愛する者を守るために愛に背を向けて生きてきた。
逃れようとするけれども泥濘のようにその運命が足をとらえ離さない。
そのしがらみの中でまた一つ大きな影が彼をとらえようとしていた。
東宮になるという大きな枷がまた彼をさいなむ。
しかし逃げようがない。
兄の夢の形見を託されてしまったのだから。
他にどうしようもない。
それを負って生きていかなくてはならない。



運命に囚われた彼がたどり着いた先は
浮舟のところだった。



彼女も同じ。
他に生きる術がない。

薫の求めるまま琴を弾くしかない。
薫の愛を求める一人の女で、形代ではなく傀儡でもない。
私はここだと叫び続けているのに。

「そんなことはやめてしまえ」と匂宮は言う。
でもやめることなんかできない。
それは自分が一番よくわかっていることなのに。

ここに至ってなお、彼は薫を傷つけたくはない。
愛に傷つき心折れてしまった彼に追い打ちをかけることはできない。
薫を必死に庇うことで自らを抑えようとする匂宮。

匂宮にとっての薫ってなんだ?
これも意外と永遠の謎。こっからもさらなる私の勝手な憶測いや妄想。

求めて追いかけて。でも届かない。

薫は彼にとって幼い頃の幸せの象徴だったんではなかろうか。
彼の分身。
だから守りたかった。

彼はあの日からどこか遠くへ行ってしまった。
あの日呼んでも帰ってこなかった彼。
どこへ?なぜ?

それはきっと自らが愛を捨てたのと同じ理由。
だから追い求める。

きっと匂宮は薫を救うことで自分を救いたかったのじゃないかと思う。
失ってしまった子供時代を。愛することができる自分自身を。
ずっと追いかけていたのかもしれない。

でも今は。
この目の前の娘を救いたい。
自分を救うように。
愛されたいと望むこの人を。
ずっと愛したかった自分を。

涙を流している浮舟の頬に触れる。
温かい。
傀儡であろうはずはない。
生きて目の前にいる、
愛を乞い愛することを求める者同士が惹かれあうのは当然の成り行き。

それがたとえ罪だと知っていても。

こうして初めて匂宮も罪を犯す。
愛するという罪を。

血戯


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